[ad_1]
本稿は独立系ベンチャーキャピタル、グローバル・ブレインが運営するサイト「GB Universe」に掲載された記事からの転載
今週の注目テックトレンド
GB Tech Trendでは世界で話題になったテック・スタートアップへの投資事例を紹介します。
中小企業の後継ぎ問題に挑むスタートアップが登場しました。
ニューヨーク拠点のフィンテック企業「Teamshares」は、米国企業のうち99.7percentを占める中小企業の後継問題を解消しようというスタートアップです。同社は中小企業を買収し、20年の月日をかけてオーナーから取得した株式を従業員に付与していくことで、地元に長く貢献する企業へと生まれ変わらせる事業を展開しています。
TechCrunchの記事によると、中小企業経営者のうち、会社を家族に引き継ぐ人はわずか15%ほどで、他の多くの経営者は事業をたたむ必要があるのだとか。米国も日本同様に、徐々に中小企業経営者の高齢化が進んでいるらしく、引き継ぎ手がいなくなる前に中小企業が安心して引き継げるスキームを作ろうとしているのがTeamsharesです。
同社はすでに84の企業を買収していると報じられています。買収に必要な資金は調達済みで、8月には累計2億4500万ドルをシリーズDラウンドで調達したと発表しています。QED InvestorsのFrank Rotman氏がこのラウンドをリードし、既存投資家にはInspired Capital、Khosla Ventures、Gradual Ventures、Spark Capital、Union Sq. Venturesが参加しています。
Teamsharesは企業買収後に従業員へ株式の10percentを付与し、次の20年で従業員全体の持ち株比率を80percentに引き上げることを約束して事業運営するそうです。つまり、オーナーシップを従業員に持たせることでこれ以上の企業売却が発生しない仕組みを作り、あくまでも地元に長く貢献する中小企業のあり方を探っているのがTeamshares、というわけです。なお、買収後に着任する新社長には研修プログラムを経た経営者候補を選任するようで、エグジットを狙う起業家というよりは安定的な事業成長を狙い、経営者としての経験を積むことに価値を感じる人と一緒に、中小企業を長く運営することを目指します。
Teamsharesは買収企業を売却して利益を上げようとは考えていません。その代わり、自社でネオバンク事業を立ち上げ、小切手からクレジットカードに至るまで、事業運営に必要な諸フィンテックサービスを20年間提供し続けることで収益を獲得する戦略を描いています。つまり、ネオバンク企業としてのTeamsharesが、顧客企業を自社フランチャイズとして囲い、経済圏を丸ごと抱え込んでしまうというアグレッシブな事業形態を採用しているのです。
今回紹介した中小企業買収を通じた事業モデルは、以前業界で「ロールアップモデル」として大きく注目された、Amazonブランドの買収を手掛ける「Thrasio」にも通じるところがあります。加えて、オーナーシップを不特定多数の従業員に付与する思想は、DAOの運営に近いものを感じます。Teamshares自身はWeb3企業であるとは明言していませんが、非中央集権な形に企業を変貌させる様は、次世代の企業形態を模索している観点からも注目できるのではないでしょうか。
BRIDGE Members
BRIDGEでは会員制度の「Members」を運営しています。登録いただくと会員限定の記事が毎月3本まで読めるほか、Discordの招待リンクをお送りしています。登録は無料で、有料会員の方は会員限定記事が全て読めるようになります(初回登録時1週間無料)。
- 会員限定記事・毎月3本
- コミュニティDiscord招待
[ad_2]